第4位「廃市」★第4位「廃市」福永武彦原作の同名小説の映画です。大林監督が一番愛する作家と言うことで、ほぼ原作に忠実に映像化されています。監督自身が冒頭で原作を朗読するという、思い入れようです。大林作品としては遊びなし、直球勝負の珍しい作品といえます。 ただし、ブラームスのようなないような変な室内楽が流れますが、これは監督自身の作曲。まあ許しましょう。 この映画の主人公安子は、小林聡美が演じています。いつもの小林のキャラからすれば珍しい、旧家のお嬢さんという役柄。最初は面食らうが、徐々に違和感がなくなるのは、小林の演技力でしょうか。 舞台となる美しい柳川の川面と浮かぶ小舟の風景は、まるで印象派の絵画を見るようです。モノクロともカラーともつかない淡い色調の画面も、原作のもつ日本的な美の世界にぴったりマッチしています。 「廃市」は、大林監督の美意識がもっともよく表現された作品といえるのかもしれません。 ジャンル別一覧
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